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片山 一成*; 竹石 敏治*; 眞鍋 祐介*; 永瀬 裕康*; 西川 正史*; 宮 直之
Journal of Nuclear Materials, 340(1), p.83 - 92, 2005/04
被引用回数:8 パーセンタイル:49.16(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60U W型ダイバータ領域ドームトップと内側ウィングタイルで使用されたグラファイトタイルからのトリチウム放出挙動を、Ar, H/Ar, (O+HO)/Ar雰囲気での昇温脱離法により調査した。その結果は以下のようである。(1)Ar雰囲気中で1000Cに加熱した後、なお総トリチウム蓄積量に対しておよそ20-40%がタイル内に残留していた。この残留トリチウムは、1000C以上の温度でH/Arもしくは(O+HO)/Arガスに曝すことにより回収された。(2)トリチウム蓄積量は、ドームトップで84-30kBq/cm、内側ウィングタイルで8-0.1kBq/cmと求まった。トリチウム濃度は、ドームトップで最も高く、ウィングタイル端にかけて減少していることがわかった。(3)段階昇温過程でのトリチウム放出曲線から放出開始温度を推定した。放出開始温度は、ウィングタイル端で最も高く、ドームトップで最も低かった。これは、トリチウム蓄積分布と逆の傾向である。放出開始温度は、プラズマ放電中のタイル表面温度を反映していると考えられ、タイル表面温度が高いほどトリチウム蓄積量が少ないことを示している。(4)タイルの深い位置からも微量のトリチウムが放出された。これは、分子状トリチウムがグラファイト細孔内を拡散し、グレイン表面から吸収されたことを示している。
核融合工学部; 物質科学研究部
JAERI-Review 2005-012, 143 Pages, 2005/03
原研は、原子力委員会核融合会議が平成12年8月に策定した「核融合炉ブランケットの研究開発の進め方」に基づき、固体増殖方式のブランケットの開発の中核的な機関として、増殖ブランケットの開発を進めている。本報告は、原研で実施している増殖ブランケット開発計画とこれまでの成果及び今後の展望と計画を取りまとめたものである。本報告では、核融合炉の最も重要な機器の一つである増殖ブランケットの開発に関して、原研が果たすべき責務を明確に示し、増殖ブランケットの開発目標及び増殖ブランケット実現のために必要な開発課題とロードマップを明らかにした。また、これまで原研で実施してきた増殖ブランケットの研究開発の成果を概観し、現在までに達成した技術開発のレベルが、要素技術開発の段階から工学試験の段階に進むべきレベルに達したことを示した。さらに、今後、工学試験として実施するべき開発目標と開発計画を定量的に明らかにし、実現の可能性を明確に示した。今後、増殖ブランケットの工学試験を実施し、ITERのテストブランケット・モジュール試験を完遂することが、核融合炉の増殖ブランケット開発において必要不可欠である。
長崎 正雅*; 山口 憲司; 小西 哲之*
日本原子力学会誌, 46(11), p.770 - 779, 2004/11
プラズマ-壁相互作用,固体増殖材におけるトリチウム生成とその回収など、核融合炉材料と水素の間で繰り広げられる重要な現象に着目しつつ、これを素過程の観点より概観した。核融合炉材料として用いられる材料は、金属から、黒鉛や酸化物系セラミックスなど多岐にわたるため、まず、共通する知識のベースを確認したうえで、個々の材料や現象の特異性に依拠する事象を明らかにするというアプローチを採用した。材料と水素の問題は古くから研究されている問題ではあるが、最後に、核融合環境下での特異性に関連して解明が求められている点を列挙した。
河村 繕範; 小西 哲之; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 45(1), p.33 - 40, 2004/01
被引用回数:25 パーセンタイル:81.94(Nuclear Science & Technology)核融合炉の効率的なブランケットトリチウム回収システムの実現を目指して、プロトン導電性固体電解質膜を用いた電気化学水素ポンプの研究開発を進めている。水素ポンプを用いたブランケットトリチウム回収システムの利点の一つは、一つのコンポーネントで水素同位体と水蒸気の同時処理が期待できることである。本研究では、ペロブスカイト型プロトン導電性セラミックであるSrCeYbOを用いた水素ポンプにより、水分子中の水素抽出特性についての実験研究を行った。水分子からの水素抽出には、水の分解エネルギーに相当するしきい値が存在する。その値は873Kで500600mV程度で、水蒸気分圧の増加に伴い減少する傾向が見られたが、理論値よりやや低い値となることがわかった。また、H-HO混合ガスのポンピングについては、Hの透過が水蒸気分解より優先して生じ、水蒸気分解のしきい値は水素分圧の増加に伴い増加する傾向が見られた。これらの結果から、一段の水素ポンプによる水素同位体及び水蒸気の同時処理を実証したが、同時処理を行うためには、比較的高く印加電圧を設定する必要があることが見込まれる。
河村 繕範; 小西 哲之; 西 正孝; 角田 俊也*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.1035 - 1039, 2002/05
核融合炉を成立させるためには、増殖ブランケットで生成されるトリチウムを効率良く回収し、燃料として消費される以上のトリチウムを得なければならない。原研では、効率の良いブランケット増殖トリチウム回収システムとして、プロトン導電性セラミック膜を用いた水素ポンプシステムの適用を提案している。プロトン導電性セラミック膜は、膜の両面に電位差を設けることにより、水素同位体を選択的かつ積極的に透過させる性質を持つため、水素同位体分圧の低いブランケットパージガスからの水素同位体の回収に有効である。これまでに軽水素(H)及び重水素(D)単成分での移送特性を調べており、今回はH-D混合ガスを用いて移送特性を調べた。膜全体での透過速度を比較するとHを優先的に透過させる傾向にある。トリチウムを含む実際の系ではさらにその傾向が顕著となることが予想されるため、設計においては配慮が必要となるであろう。
土谷 邦彦; 中道 勝; 長尾 美春; 榎枝 幹男; 大崎 敏雄*; 田中 知*; 河村 弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(11), p.996 - 1003, 2001/11
被引用回数:23 パーセンタイル:82.42(Nuclear Science & Technology)低インベントリー,化学的安定性等の観点から、核融合炉のトリチウム増殖材としてリチウムタイタネイト(LiTiO)微小球が有望な材料の1つとされている。核融合炉ブランケットの設計には、微小球を用いたブランケット構造体の中性子照射試験データが必要である。このため、LiTiO微小球充填体を用いて核融合炉ブランケット構造を模擬した2種類の照射試験体を開発し、JMTRの中性子照射下において微小球充填体からのトリチウム回収試験を行い、トリチウム回収特性に対する照射温度,スイープガス流量等の効果について評価した。この結果、充填体温度の上昇とともに、回収量と生成量の比は増加し、充填体温度が300以上ではほぼ全量回収できること、スイープガス流量が100~900cm/minの範囲では、トリチウム回収量はほとんど影響されないことがわかった。これらの結果、LiTiO微小球充填体を用いた増殖ブランケット設計の見通しが得られた。
角田 俊也*; 小西 哲之; 河村 繕範; 西 正孝; 鈴木 達志*
Fusion Technology, 39(2-Part2), p.1083 - 1087, 2001/03
核融合炉固体増殖ブランケットでは、スイープガスからの水素同位体の分離が考えられている。われわれは、このシステムにプロトン導電性固体電解質セルを用いた水素ポンプの適用を提案した。このセルは混合ガスから電気的駆動力により水素同位体を選択的に抽出することができる。プランケットシステム条件を考慮し、円盤状のセルの片面極に純水素ガスを、もう片面極に0.01%~10%の水素ガスを接触させ試験を行った。両極の水素濃度差により生じた起電力で静的特性を、直流電圧印加に対する電流密度で水素ポンプ性能を評価した。結果として、水素分圧比100程度まで、起電力は理論値にほぼ一致した。また、水素ポンプの安定作動電圧領域が確認され、水素ポンプ性能の代表的値は873Kで7mA/cm,973Kで9mA/cm(1200mV)であった。結果から、ブランケットトリチウム回収システムへの適用が有効だと判断できる。
河村 繕範; 榎枝 幹男; Willms, R. S.*; Zielinski, P. M.*; Wilhelm, R. H.*; 西 正孝
Fusion Technology, 37(1), p.54 - 61, 2000/01
核融合炉のヘリウム放電洗浄排ガスやブランケットスウィープガスからのトリチウム回収方法としてモレキュラーシーブ5Aという吸着材を用いた低温吸着法の適用が検討されている。しかし、トリチウムに関する吸着データは不十分である。そこで、日米核融合研究協力協定に基づき、米国ロスアラモス国立研究所、トリチウムシステム試験施設において、液体窒素温度におけるモレキュラーシーブ5A,モレキュラーシーブ4A,活性炭の純トリチウム吸着量を測定した。吸着量は2つのラングミュア式の和で精度良く表現できた。
中道 勝; 山村 千明*; 河村 弘; 佐川 尚司; 中澤 正治*
Fusion Technology 1996, 0, p.1591 - 1594, 1997/00
現在、核融合炉ブランケット設計において、工学データを取得するために、ブランケット構造等を模擬した、ブランケット炉内要素試験を計画している。本炉内要素試験は、核熱特性、トリチウム放出/回収特性等の評価を目的としており、これら特性評価のために、各種設計機器が照射試験体内に装荷されている。計測機器の一つである自己出力型中性子検出器(SPND)は、トロイダル増殖材または中性子増倍材領域内に装荷されるため、照射期間中高温にさらされる。このため、SPNDの高温中性子照射下における特性評価を実施している。本報告書ではSPNDとして、標準型及び高温型の2種類を用いて行った、高温下での中性子照射支援結果について報告する。
有田 忠昭; 山西 敏彦; 岩井 保則; 奥野 健二; 小林 登*; 山本 一良*
Fusion Technology, 30(3), p.864 - 868, 1996/12
ITERの設計では廃水からのトリチウムの回収が要求されている。このため水蒸留法,極低温蒸留法が考えられている。しかし、水蒸留法では分離系数が小さいため装置が大きくなる。一方、極低温蒸留法では液体水素を扱うためインベントリーが大きくなる。廃液からのトリチウム回収方法としてCECEと深冷熱拡散法を提案する。CECEは既に構成要素について試験が行われ、多段方式では良好な結果が得られている。水蒸留方式に比べ分離系数が大きいので装置を小型化できる。CECEからのガスは深冷熱拡散筒で最終処理される。これは熱拡散筒壁を液体窒素で冷却し分離系数を大きくしたもので、ガス状態で運転するのでインベントリーは小さい。また、深冷熱拡散筒単独の運転も行われている。今回の発表はCECEと深冷熱拡散装置の大きさ,インベントリー,制御における主な変数等についてである。
榎枝 幹男; 河村 繕範; 奥野 健二; 田中 健一*; 植竹 満*; 西川 正史*
Fusion Technology, 28(3), p.591 - 596, 1995/10
ITERではグロー放電洗浄ガラスからのトリチウム回収プロセスとして低温モレキュラーシーブ吸着塔を有力候補としている。本研究では、ベンチスケール実験により、実ガス条件を模擬したガスの吸着特性について、実験データを得、低温吸着塔のHHTガスと不純物メタンの混合ガスの吸着特性を明らかにしたものである。実験結果によると、H,HT等水素同位体ガスはメタンに先行して吸着が進行し、遅れて吸着したメタンは先行して吸着している水素同位体ガスを追い出し吸着する。これらの過程は、ラングミュア式の多成分系等温式とボハートアダムスの吸着速度式を用いてモデル化され、よく実験結果を再現計算することができた。メタン濃度が100ppmレベルまで低濃度であれば、水素同位体の低温モレキュラーシーブ塔への吸着ダイナミックスは影響を受けず、トリチウムの回収除去性能は、純成分の場合に比べて劣らない。
榎枝 幹男; 山西 敏彦; 山田 正行; 小西 哲之; 奥野 健二; Willms, R. S.*; Taylor, D.*; W.Harbin*; Bartlit, J. R.*; Anderson, J. L.*
JAERI-Research 95-034, 29 Pages, 1995/05
原研は、日米核融合研究協力協定Annex IV延長に基づき米国ロスアラモス国立研究所のTSTAにおいて非定常運転対応核融合炉燃料循環系実証試験及び増殖ブランケットトリチウム回収系模擬試験を行ってきた。本試験は、TSTA FCUの低温モレキュラーシーブ塔とJFCUのパラヂウム拡散器を組み合わせた世界初の増殖ブランケットトリチウム回収系に関するトリチウムを用いた、模擬実証試験であった。試験の結果、トリチウムを含む模擬ブランケットパージガス(流量12.6l/min)を低温吸着方式で3時間以上にわたって精製回収し、回収されたトリチウムガスを3時間以内にパラヂウム拡散器で純化する運転が可能であることが実証された。本報告は、この試験結果について詳細に解析、検討したものである。
Slagle, O. D.*; 倉沢 利昌; 高橋 正; Hollenberg, G. W.*; Verrall, R. A.*
Journal of Nuclear Materials, 219, p.265 - 273, 1995/03
被引用回数:4 パーセンタイル:43.23(Materials Science, Multidisciplinary)国際エネルギー機構(IEA)の下で行われているBEATRIX-IIの第1期,第2期照射の結果を順次報告するものの第3報である。今回は旧原研で製作したLiO試料について照射したデータを解析した。今回は特に照射量依存性を重点に調べ、照射量をパラメータにした実験式を求めた。この高速炉照射においてもトリチウム放出はスイープガス組成に強く依存する傾向がみられた。これらの結果の解析を試みた。今回の発表の主題は高速中性子照射環境下でLi燃焼度5%までの範囲でのトリチウム放出(LiO試料)への照射量依存性を明らかにした。
榎枝 幹男; 河村 繕範; 奥野 健二; 西川 正史*; 田中 健一*
Fusion Technology, 26(3), p.664 - 667, 1994/11
増殖ブランケットからトリチウム回収を行うためには、ブランケットパージガス中に含まれる1000ppmHと10ppmHTをHeより分離しなければならない。このヘリウム分離プロセスとして液体窒素温度の低温吸着方式が有望とされている。本報告では、実際にトリチウムを用いた実ガス条件で、低温吸着塔の操作特性について実験データを得た。得られた実験結果より、HT/Hの分離係数は約2であり、吸着速度としては物質移動係数1.5cm/sに相当することが明らかとなった。また実験データの解析を行う過程で開発した計算プログラムの妥当性が確認された。本報告の成果により、増殖ブランケットトリチウム回収系での低温モレキュラーシーブ塔の設計及び運転性能予測が可能となった。
黒田 敏公*; 吉田 浩; 高津 英幸; 真木 紘一*; 森 清治*; 小林 武司*; 鈴木 達志*; 平田 慎吾*; 三浦 秀徳*
JAERI-M 91-063, 72 Pages, 1991/04
国際熱核融合実験炉(ITER)の概念設計は1990年12月を以て3年間に渡る活動を終了した。この報告書はITERで行う工学試験計画に対する日本の提案をまとめたものである。とくにセラミック増殖材(LiO)を用いた動力炉用ブランケットを対象とし、ヘリウム冷却を行う場合および軽水冷却を行う場合について、試験項目や試験スケジュール、テストモジュール構造概念に関する検討を行った。また、テストモジュール用冷却系およびトリチウム回収系の設計を行い、各系統内主要機器の概略仕様を検討すると共に、系統全体としての設置スペクトルを評価して炉建家内レイアウトの検討用資料とした。
東稔 達三; 関 昌弘; 湊 章男; 堀江 知義; 山本 孝*; 田中 義久*; 阿部 忠*; 渡部 隆*; 小林 武司; 佐藤 瓊介*; et al.
JAERI-M 87-017, 737 Pages, 1987/03
本報告では、トカマク型DT炉の発電用増殖ブランケットシステム概念の代表的候補の比較評価の為に行なった技術検討結果について述べる。ブランケットには、(1)トリチウム燃料の自己供給,(2)In-Situのトリチウム連続回収と低いインベントリ、(3)高い発電効率を与える高温除熱、(4)高稼働率を与える信頼性の高い構造等が要求される。これらを満たすブランケットの性能は、構造材/増殖材/冷却材/中性子増倍材の選択によって支配される。これらの材料の組合わせの主要候補としてPCA/LiO/HO/Be,Mo-alloy/LiO/He/Be,Mo-alloy/LiAlO/He/Be,V-alloy/Li/Li/none,及びMo-alloy/Li/He/none を選んだ。ブランケット概念の相互比較評価は、トリチウム回収システム、冷却/発電系統、及び遠隔操作による分解組立てを考慮したト-ラス分割構成法も含めて総合的に検討を行なった。
渡辺 斉; 倉沢 利昌; Roth, E.*; Vollath, D.*
Proc.Int.Symp.on Fusion Reactor Blanket and Fuel Cycle Technology, p.33 - 36, 1987/00
58年以来、JRR-2の垂直孔を使用してLiO,LiAlO,LiSiO,ペレット及び小球試料について照射下トリチウム放出挙動は試験が行われている。トリチウムの放出速度は電離箱によって、水成分+ガス成分及びガス成分にわけて測定される。これら3種類の増殖材のトリチウム放出挙動について比較して報告する。測定に際して、放出速度及びトリチウム化学形はスイープガス組成及び配管表面に吸着している水分の影響を強く受けることも明らかになった。
竹下 英文; 吉田 浩; 倉沢 利昌; 松井 智明; 渡辺 斉
JAERI-M 86-130, 20 Pages, 1986/09
本報告書は、酸化リチウムを用いて行なわれた照射下トリチウム放出試験(VOM-21M)のうち、水素同位体分離ガスクロによる放出トリチウムの同位体組成の測定結果および解析結果について纏めたものである。VOM-2Mでのトリチウム生成速度は約300Ci/minであった。この生成速度は、約1ppmのスィ-プガス中トリチウム濃度(T或いはTOとして)に相当する。スィ-プガスへ添加する水素には重水素を用い、濃度としては、10,100及び1000ppmの3種類を選んだ。実験結果からスィ-プガスに添加した水素がトリチウム放出を促進するのは水素同位体交換反応によって放出トリチウムの水蒸気成分(TO)が水素ガス成分(DT)へ転換される為である事が分かった。添加水素濃度と水蒸気成分の水素ガス成分への転換率の関係は熱力学的に予測されるものの ほぼ一致していた。
竹下 英文; 吉田 浩; 渡辺 斉
JAERI-M 86-062, 24 Pages, 1986/04
セラミックス系固体増殖材中で生成し放出するトリチウムは、TO及びTの化学形であることが明らかになっている。本報では、まず増殖材を選定する上で重要なトリチウム・インベントリ-について、原研が設計研究を進めている核融合実験炉(FER)での増殖材として採用され、最近実験デ-タが充実してきているLiOを取り上げリチウム化学形依存性をFERの設計条件に基づいて評価した。その結果、水蒸気親和性の高いLiOブランケットではTOの吸着インベントリ-が過大となり、なんらかの対策を必要とする事が分かった。そこで、次にTOの吸着インベントリ-を低減化する方法として水素添加スィ-プガスによるトリチウム化学形の転換に着目し、その利点及び新たに派生する問題点について検討した。また、LiOに固有と考えられるTOとの化学反応による水酸化リチウムの生成に伴なう問題についても考察した。
山西 敏彦; 木下 正弘; 奥野 健二; 吉田 浩
JAERI-M 85-174, 28 Pages, 1985/11
本報は、ウランゲッターによる不活性ガス中のトリチウム回収について、現在までに報告されている研究を化学工学的観点から調査、検討し、その結果を要約したものである。核融合研究の分野では、Maienscheinが報告したウランベッドの設計モデルは、破過実験の結果と良く一致するとされている。著者らは、この結論を疑問視し、解決すべき問題点を列挙した。加えて、改良した設計モデルを提示すると共に、今後必要な実験研究課題を明らかにした。